ワイエス展

ワイエスの三日月

やっと「アンドリュー・ワイエス」展に行くことができました。
美術の資料集でよく見ていた画家。
それが今でも目に焼きついて離れません。
実際に作品を見ると、とても物に執着して描かれているのが分かりました。
この展覧会では、完成作品の他に習作も展示がありました。
中でも、水のたまったバケツの習作は、水面に写り込む景色はもちろん、
バケツ自体に写った風景さえもしっかりと描かれていたのです。
画面全体からしたら、建物がメインでバケツはそばにうち捨てられているだけなのに。。
と『驚きと感動』でした。
何でもない小屋や戸にさえ、そこに住んでいる人の息遣いや想いが溢れている。
何より、細部にまで作者の情感が詰まっている気がしました。
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技法に「ドライブラッシュ」というのが頻繁に出てきて、気になった私。
「水気をしぼった筆で描く水彩画の技法」だそうです。
鉛筆・ペン→水彩→ドライブラッシュ→テンペラと製作段階があり、
作品によって使い分けていたようです。
テンペラ、いつかやってみたいんだよなあ。
もちろん、ワイエス氏ほど細かくは描けないけれど。(~_~;)
描かれた木の幹のひび割れや枯れ草の一本一本が、細くてとても美しいのです。
針で引っ掻いた様な髪の毛ほどの線。でもとても力強い。
今年に入って「ワイエス氏が亡くなった」とニュースで聞きました。
残念なことだけれど、この展覧会を見ることができて本当によかったです。